普通の女性をテレビで見つめてみた結果。
最近見たテレビから、2例ほど。
(1) バラエティ番組。スタジオで、同じ趣味を突き詰めた女性二人が並んで話をしていました。ひとりは主婦、もうひとりはタレント。同じくらいの知識量でどちらも熱心に話をする。その熱さはともに共感が持てるものでした。
タレントは鮮やかな青色が印象的なノースリーブのブラウスを身に着けていました。そして主婦は、この日のために選んだよそゆきのためのストライプのプリントブラウスじゃないかな。そんなことを思いながらテレビを見ていました。
そのうち、番組が進行して時間が経つにつれて、主婦の服が、強いライトの下で、その服の仕立てや繊維が量販店のものであること、そして何度も洗濯をしたのであろうへたり具合が見えるようになってきました。タレントのブラウスはそんなふうには見えません。二人の服が、
「テレビに出るために購入したわけではない何度か着たよそゆき着」と
「テレビに出るために購入した非日常着」
の違いが、テレビカメラの前ではっきりとわかりました。
これが一瞬の出演だけだったら、そんなことまで気づきません。番組が二人を真摯に取り上げ、一緒に並んで少なからぬ時間画面に映り続けているからこそ、タレントの服とははっきり「違う」ことがわかってしまう。それは主婦にとってあまりにも残酷な現実のように思えました。
(2)これは番組名をはっきり言います。NHKEテレ「SWITCHインタビュー 達人達」のある回です。
この番組は、前半と後半で場所を変えての二人の対談番組です。ある時、対談相手の一人として登場した女性のメイクと服装が前半と後半で明らかにはっきりと変わっている、と感じた回がありました。もちろん二回の対談の日付と場所が違うわけですから身に着けるものなどが変わり、それに伴ってヘアメイクを変えるのは当然のことです。ですが、私がその時はっきりと違いを感じたことを覚えているのは
「前半は本人が選んだ服装であり日常のメイク、後半はプロのメイクとスタイリストをつけて場とイメージに合いカメラ映えする最適な服とメイクにした」
ということです。
もちろん前半の服も似合っていましたし、メイクは薄かったですが好感の持てるものでした。ただ、その場のちょっと凝った照明のもとでは顔のツヤ感が汗をかいているように見えていた、ようにも思います。おそらく、企業を経営しているその方の日常の仕事着とメイクだったのだと思います。
後半では、はっきりと化粧が変わっていました。目元にしっかりとアイラインが入り、マスカラもしっかりつけ、あと、肌にはっきりとファンデーションがきちんと塗られていて、肌が過剰にテカることがないようになっていました。
以下は推測でしかないです。おそらく、優秀な企業人でもあるその方は、一回目を撮影した後にいろいろとチェックを入れて「テレビでこうありたい自分」をプロの目を入れてチェックを入れた結果、前半と後半で見た目がガラッ、と変わることを決断したのだと考えます。
ちなみに、その時の対談相手の男性の方は、服装は変わっていましたが、見た目はそれほど変わっていなかったと記憶しています。かける眼鏡を変えたのが目立った変化でしょうか。
* * *
で、私が何を言いたいかというと。
「普通の女性は、ふだん着で
テレビのスタジオ番組に
出演してはいけない」。
ロケ収録や完全に観客の一人としている場合は別です。万が一、出演者として出ることになってしまったらという場合です。
強いライト、細部まで映すカメラは、日ごろは気にしないで済む服や肌の細かい部分の荒れやアラ、老い、所帯くささや泥くささを想像以上に映し出してしまう。そしてそれをしっかりとカバーできるだけの技術や方法を持った方か、マイナス面があった場合それを魅力に変えることができるだけの力を持つか、どういう姿を映し出されても平気な心持ちの方だけがスタジオにいることができる。性別問わず、年齢問わず、キー局だろうが地方局であろうが衛星局であろうが、どんな小さな番組であろうが。
そういう望まない存在感をカバーするだけのテクニックや方法を持たないで日常をそのままテレビスタジオに持ち込むと、それは残酷なまでに隠せない良からぬ部分を映し出してしまう。そしてそこから得られた視覚情報を私のように過剰に読み取るバカが生み出される(あああ)。
私は、ラジオ番組やweb配信などに出演したことはありますが、幸いにもテレビスタジオでの番組に出演したことはありません。これからもおそらくないとは思いますが、物好きのひとりとして多少人前に立ったり取材されたりする機会が出来た昨今、「見られる」という意味がテレビ画面では他の媒体より意味合いが重くのしかかるのだ、ということは自覚しておきたいと思います。
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