« 嫁入り道具の使い道。 | トップページ | 普通の女性をテレビで見つめてみた結果。 »

2021.10.10「どーも、NHK」、特集「伝統芸能っておもしろい! 日本の宝 伝統芸能を考える」文字起こし

10/10放送「どーも、NHK」

特集「もっと、NHK」伝統芸能っておもしろい!日本の宝 伝統芸能を伝える

礒野祐子(NHKアナウンサー、以下「礒野」) ここからは今日の特集、伝統芸能番組についてお伝えします。
マヤさん、伝統芸能に興味はありますか?
今泉マヤ(タレント、以下「今泉」) はい、私は以前寄席に行ったんですけども、落語家さんたちが
ひとり何役もの表現力、本当に素晴らしくて、もっと行ってみたいな~
とすごく思いました。礒野 引き込まれますよね~。
今泉 はい。NHKではどんな伝統芸能番組を紹介しているんでしょうか?

礒野 こちらがNHKで放送している伝統芸能番組です。
(一週間の番組案内の表)

 


_5whbogv



上がラジオのFM、下がEテレです。ラジオでは歌舞伎・浪曲・邦楽など、様々なジャンルを
放送しているんですね。Eテレでは、毎週金曜日と日曜日に伝統芸能番組を放送しているんですよ。
今泉 こんなにバラエティ豊かにたくさんの番組があるんですね。

礒野 まずは、伝統芸能の魅力を伝えるEテレの番組をご覧ください。

(「にっぽんの芸能」の紹介VTR)

(ナレーション・松岡洋子、以下「松岡」)Eテレ夜9時からの「にっぽんの芸能」。
古典芸能に精通した俳優・高橋英樹さんと中條誠子アナウンサーが、
本格的な芸をわかりやすく伝えます。

(「にっぽんの芸能」番組オープニングVTR)

高橋英樹(俳優・「にっぽんの芸能」司会) 「いずれの様の御贔屓お引き立てのほど、すみからすみまでずずず~い、と乞い願い申し上げ奉りまする~」

(歌舞伎「連獅子」映像)

松岡 今や世界的な人気を集める歌舞伎。でも、初めて見る人にとってはわからないことも多くあります。スタジオでは、専門家を交えて様々な物語の背景や芸の特徴などを詳しく解説。

(「にっぽんの芸能」2020.12.11「まるごと!歌舞伎」"仮名手本忠臣蔵"スタジオ映像)

(上記番組中のコメント)
児玉隆一(早稲田大学教授・以下「児玉」) 忠臣蔵は、本当に四季折々、2月の大序に始まって桜の盛りで切腹をして、勘平は夏の闇の中で事件を起こし、空きの月の祇園一力があって雪の山科・討ち入りまで、一年間の四季折々日本の四季を全部通じて描いているという魅力があります。

高橋 大長編「仮名手本忠臣蔵」堪能いたしましたね。

(文楽「平家女護島」喜界ヶ島の段、鶴沢清介)
(能 観世流能「屋島」弓流)

松岡 歌舞伎・文楽・能・狂言など、古典芸能の世界を初心者でも存分に楽しめる番組です。

高橋 改めて見ると、古典芸能の番組というのは、やっぱり日本の歴史の中に育まれた素晴らしいものであるということが気がつきますので、「あ、やっぱり日本人であって良かったな」と思える瞬間があるんですよ。そういったところを、皆さまと共有できたらいいなというふうに思います。

(調整卓の前)
佐々木治彦(にっぽんの芸能 チーフ・プロデューサー) 古典芸能、伝統芸能というのを定時、特に毎週という形で紹介する番組というのは、おそらくこの番組くらいしかございません。そういった意味でもですね、NHKとしての公共的な価値、文化的な価値というものは十分にあるものだと思いますし、生の舞台・生の公演にもそういったところにも、コロナが収まったらぜひ足を運んでいただく、そんなきっかけになれば嬉しいなと思っています。

(「日本の話芸」冒頭VTR)

松岡 Eテレ、毎週日曜午後2時は「日本の話芸」。落語と講談の第一人者が、一席演じる番組です。
例えば、現代落語界をけん引する春風亭昇太さん。

(春風亭昇太「御神酒徳利」)

松岡 人間国宝の神田松鯉さんの熱演も。
(神田松鯉「水戸黄門より 出世の高松」)


(「日本の話芸」講談セットの前)
大田純寛(日本の話芸エグゼクティブプロデューサー)ご家庭にいても、落語会にいらっしゃるような気分を味わっていただければと思っております。良質な芸を、全国の皆さんにあまねくお届けする、それが私どもNHKとしての役割のひとつなのではないかと思っています。

(能楽堂のセット)
礒野 今日は伝統芸能がテーマ、ということで、能舞台をイメージしたスタジオからここからはお送りします。
お越しいただいたのは、長年国立劇場で古典芸能の公演に携わってこられた織田紘二(おりた こうじ)さんと、演芸専門誌の編集長佐藤友美(さとう ともみ)さんです。お二方、よろしくお願いします。

織田・佐藤 よろしくお願いいたします。

礒野 織田さん、まずこの新型コロナの状況の中で、舞台関係大変厳しい状況なのかなと思いますが、現状どのような状況なのでしょうか。

織田紘二(以下「織田」) 伝統芸能だけではないんでしょうが、どの舞台も皆さん苦しんでいらっしゃいます。
しかし、そういう中でもだんだん次第に元気になっていらっしゃるということと、それから演者もやっぱり舞台を待っているということと、とにかく見るもの聴くものに飢えていたんじゃないかと、本当にいい客席の空気を味わうことができていますね、今。

佐藤友美(以下「佐藤」) 寄席はもう随時開いているんですけども、やっぱりまだコロナ禍で思うように足を運べない演芸ファンがたくさんいる中で、落語と講談と浪曲はやっぱり主に東京や大阪の繁華街で発展した芸能なので、日常的に聴きに行くことがなかなかできない中、NHKの演芸番組は、みんな心待ちにしていると思います。

礒野 NHKでは、あまたの名人たちの芸を放送して、それを保存しています。こうしたNHKの取り組みについて、どう思われますか。

織田 やっぱり映像と音の記録というのは、アーカイブされているものというのは、本当に日本の宝だと思いますね。能の世界っていうのは、600年以上、室町時代からの日本人のしぐさですよね。日本人のしぐさというものを、本当にやっぱり今、舞台に残しているわけですよね。
落語にしても、歌舞伎の特に世話物にしても、やっぱり江戸時代の日本人のものの考え方、それから日本人のしぐさというものを本当にやっぱり見ることができる、聴くことができるというのは貴重だと思いますよね。

佐藤 今は亡くなった師匠の高座を流れてる(原文ママ)のを見ると、ああ、あの時はああだったこうだったいろんな、もう自分の人生と照らし合わせていろんなことを思い出されもしますし。あの、もちろん私が間に合わなかった、生で見ることがかなわなかった名人たちを見ることができるのでありがたいです。

礒野 NHKの伝統芸能番組は、後継者の育成にもつながっています。

(浪曲師・真山隼人の舞台)

松岡 真山隼人さん。26歳の浪曲師です。小学校の頃からラジオで伝統芸能に親しんできた隼人さん。
中学2年生の時に聴いたNHKのラジオ番組が、プロを目指すきっかけとなりました。

(ラジカセの映像・ディスプレイには「AM 1161」の文字)

およそ50年前から続いている「浪曲十八番」。毎回、第一線で活躍する浪曲師が一席を演じる番組です。隼人さんが聴いたのが、真山広若さんのこの一席。

テロップ(真山広若(現・二代目真山一郎)「俵星玄蕃」浪曲十八番、2009年2月12日放送の音源が流れる)

普通は三味線の伴奏だけの浪曲を、オーケストラをバックに演じるという大胆なアレンジです。

真山(リモート取材) 「なんじゃこれは!」と思いましたね。もう衝撃的で、3日間寝られないくらいの衝撃をドーンと与えてもらってですね、「この浪曲やってみたいな」と思ったのが第一印象ですね。

ナレ 手紙で頼み込み、15歳で弟子入り。翌年から舞台に上がり、技を磨き続けました。そして、23歳で、文化庁芸術祭新人賞を受賞しました。今、FMの「浪曲十八番」に名だたる名人たちと共に、毎年出演するように
なっています。

(真山隼人の音源)
テロップ(「雨月物語 仏法僧」FM「浪曲十八番」ことし(原文ママ)4月22日放送)

真山 僕が聴いて弟子入りした番組に、自分も出られるようになったんだという、この気持ちはうれしくて、もう毎年、一年に一回、最近出させていただいてるんで「次、何しようかな」と、人生に彩りを与えてくれる番組です、はい。

(能舞台セットに戻る)

礒野 真山隼人さんのように番組がきっかけで、浪曲のとりこになってプロになったという方もいらっしゃるんですね~。今の若い世代にとっても伝統芸能というのはじゅうぶん魅力があるものなんですね、佐藤さん。

佐藤 昭和から平成ぐらいまでにかけては、落語や講談というのはちょっと古臭いものとして若い方から敬遠されていたところもあると思うんです。ただ、それが一周回って古いけど格好いい、新鮮なものとしてまた今ちょっと受け入れられているのかなあと思います。
その芸をいいと思えるアンテナを持った若い世代が必ずどこかにいて、それをキャッチして、番組をきっかけにのめりこむ、で、番組をきっかけにのめりこんでプロになる人がいるし、一方で観客として見巧者として育っていく。そうやってその芸が継承されていくので、これからも演芸番組は続いてほしいし、続くことが重要だと思います。

織田 うん、本当に若いファンというのが増えてきて「くれないと(力入る)」、伝統芸能というのは、本当、あの、ますます、やっぱり元気になってゆけないと思いますね。また歌舞伎の世界でも、また能の世界でも、非常に若い演者が増えておりますので、やっぱり若い演者と若いファンが一緒に成長してもらいたいと、そういうふうに思いますね、はい。

礒野 なるほど。伝統芸能を次の世代に伝えるためには、公共メディアであるNHKにどんなことを期待されますか。

織田 僕はNHKという公共放送のこれは役割として、これは本当にもう義務だというふうに思いますね。本当に役割はもう日本の伝統を、そして日本の伝統芸能を含めてですけれども、日本の伝統文化というものを、いかにやっぱりそれを一般国民のために提供していただけるかというのはもう大事なお仕事だと思います。ぜひこれは絶やさないでいただきたいというふうに切望します。

佐藤 最初に普通に古典落語を聴いて「ちょっと難しいな」って思っている子ども向けに親子で楽しめる落語番組ですとか、例えば中学生や高校生が自分の日常と地続きでわかりやすい落語番組などがあれば、演芸ファンにもなるきっかけにもなると思います。

礒野 ますますこれから伝統芸能の伝え方というのも、私たちも考えたり工夫ができそうだなとお話を聴いていて感じました。織田さん佐藤さん、今日は貴重なお話、どうもありがとうございました。

織田・佐藤 どうもありがとうございました。

 

(文字起こし終わり)

 

 

 

 

|

« 嫁入り道具の使い道。 | トップページ | 普通の女性をテレビで見つめてみた結果。 »

文化・芸術」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

落語あれこれ」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。