腕時計とともに。
彼女の左手には腕時計が巻かれていました。
人前に立ち、裁判の当事者として話をするというのはどれだけのプレッシャーがかかるのでしょうか。それ以前に、自分が原告として民事裁判に臨むというのは、経験のない私には、事そこに至るまでの重圧は想像もつきません。
報道写真の顔上半分はカットされ、下半分はマスクで隠されているので表情はわかりませんし、それ以前にどなたかわかりません。
ただ、ちょっと特徴的な腕時計の形に私は見覚えがありました。そんな高価なものではありませんが、ちょっとしたプレミア品です。現在新品を入手しようとしても入手不可能なブランド品です。文字盤にはブランドを特徴的づけるデザインがしっかりと描かれていて、そのブランドが好きな人だったら思わず笑顔になってしまうような、そんなデザインです。なぜその時計がわかったかというと、私もそのブランドが好きだからです。時計が販売された2017年当時「数量限定発売」の告知を見て「欲しい」と思いましたが、すぐにあきらめました。
ちなみに、2021年現在、ネットオークションで、傷汚れありの使い込まれた中古品が22,000円で出てました。買いません。
ここぞという時、自分のお気に入りの物というのは、おのれを奮い立たせてくれ、また、慰めてくれます。
単なる物なのに無いと不安になりあると落ち着く、そういう不思議な存在です。
彼女にとって、裁判という場に身に着けていった腕時計は、自分を励ましそして安心させてくれる仲間のように見えました。
裁判も含めた彼女のこれからの人生が、どうか実りあるものになりますように。絶望だけはしないでください。
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