浜松百撰「巷談 勝鬨亭」(1966.2月号)について。

大河ドラマ『いだてん』にも登場した浜松での古今亭志ん生の日々が、雑誌の記事で裏付けられています。

タウン誌『浜松百撰』1966年2月号は「巷談 勝鬨亭」特集。
大河ドラマ『いだてん』への資料提供とオンエアについて書かれた、編集部ブログでの紹介はこちらこちら

特集は、5つの記事で構成されています。

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(1)上野・鈴本演芸場での古今亭志ん生(5代目)・桂文治(8代目)・林家正蔵(8代目)のインタビュー。(インタビュー日時・1966年1月8日)

(2)志ん生・文治・正蔵が勝鬨亭で語るという趣向の「立春落語十八番会」。演目は「火焔太鼓」「二十四孝」「錦の袈裟」。

(3)ハガキインタビュー「勝鬨亭と私」。語っているのは桂文楽(8代目)・春風亭柳橋(6代目)・桂小文治(2代目)・古今亭今輔(5代目)・三遊亭小圓朝(3代目・『いだてん』に登場する小圓朝(2代目)の実子)・三遊亭圓生(6代目)・三遊亭圓遊(4代目)。(注)

(4)柳家金語楼の随筆「長のつきあい」。

(5)座談会「巷談 勝鬨亭」。
出席者は山根七郎治(静岡県文化協会会長)・田畑皓志(八百庄社長)・山内耕作(稲作主人)・佐藤五八郎(養神館々長)・渥美浜太郎(勝鬨亭当主)。

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「八百庄」の田畑さん、というのは田畑政治の実家です。この「八百庄」の田畑皓志さんが、浜松での志ん生のことを、ドラマにも登場した勝鬨亭の席亭「ちいちゃん」が志ん生と(柳家)金語楼をどう評価したかを語っているのを読むと、ちょっとぞくぞくします。

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特集を通して繰り返し語られるのは、いい女だった勝鬨亭の席亭「ちいちゃん」のこと、そして近隣の遊郭での思い出。


この号の巻末では、当時(1966年)の浜松に「浜松座」という寄席が開場したことが告知されています。秋田実を相談役に、柳亭痴楽らを招いての定席だったもようです。

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勝鬨亭のことを覚えている人に話を聞くには、この時点(1966年)でギリギリだったかもしれません。話を聞いた落語家の方も、直後に引退したり亡くなっている方がほとんどです。

勝鬨亭から40年で浜松座、浜松座から50年あまりで『いだてん』。
地方の寄席の当事者の言葉が残っていたことのありがたさ、大切さを感じています。

雑誌『浜松百撰』バックナンバーは、浜松市立中央図書館・郷土資料室で閲覧できます(貸出不可・コピー可)。

(注)落語家の代数は(か)が追記しました。

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この顔さらして、生きてゆこうか。

スタッフとお話しした場所は磐田の喫茶店。

「ありがとうございました。じゃ、最後に顔写真撮影を」
「?!」。
ADさんがiphoneで私の顔をさくっと撮影。
というわけで、数日後、フリップボードに顔写真がでかでかと
こういう事情で、一瞬ですが、テレビで、私の顔が静岡県内にでかでかとさらされました。

ちょっと疲れてぎこちない笑顔の、目元と頬がたるん、とした年齢相応の女性が、ボードの中にいました。
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『江戸の夢』に見る茶の話。

沼津ワッハまちなか笑劇場、9/24は「柳家喬太郎・林家彦いち・入船亭扇辰 同期三人会」でした。気心知れた同期の仲間同士の落語会、ということで、それぞれが個性を発揮した演目を披露しました。
前座のあとに登場、思い切りはっちゃけた喬太郎師匠の「居残り佐平次」、力こぶを感じさせた彦いち師匠の「権助魚」。風俗だビジホだ酒呑みだの話題がさんざん出たあと、トリの

入船亭扇辰師匠が「江戸の夢」という噺を演じました。

これが良かった。
『江戸の夢』というのがどういう噺であるか。
原作は宇野信夫の歌舞伎。のちに六代目三遊亭圓生のために落語として作り直されたものだそうです。
ざっくりとあらすじを自己流にまとめてみました。
東海道の丸子宿の地主の家へやってきた素性のわからない男。その男と娘が結婚したいと言い出し、反対したものの男が働き者であることと娘の思いにほだされ、結婚を許し婿となり、娘は子をはらむ。
地主は夫婦で江戸見物に行くと決めたある日、婿が遠くに行き、茶の木を仕入れて帰ってきて、自分で茶を作って持ってきた。「この茶の仕上がりを、浅草並木の葉茶屋の奈良屋の主人に鑑定してもらってください」。
江戸見物の最後、奈良屋に行き、茶の鑑定を主人に願うと、最初は不思議そうな顔をしていた主人がふと気づいて涙ぐむ。その茶の作り方は一子相伝、自分の子どもにしか教えていなかったが、その子どもは酒の上のまちがいで人をあやめて出奔してしまっている…。
婿は実は奈良屋の息子であったか、と知る夫婦。店を去る二人を、いつまでも見送る奈良屋の主人。

扇辰師匠の淡々とした語りに、表情ひとつで物語がくっきりと浮かびあがる。いい噺でした。

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服と、あなたと、お話したい。

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夕方、久しぶりにデパートの婦人服売り場を歩きました。

後に約束があるので、足を止めることができる時間は限られています。
特に欲しい服は無いので、ふらふらと買うことはないだろう、と思いながら歩いたのですが…やはり覚悟はしていても「いらっしゃいませ」「どうぞご覧ください」
と声をかけられる。
「いえ、見るだけですから」「すみません、ちょっと見せてください」
そう言いながら服をざっと見続けます。
明らかに、自分が着ることが無いであろうタイプの服のコーナーがありました。
けっこうドレッシーなタイプのスーツやシャツ。生地やボタンが厚く、品の良さを漂わせている。
「あの、見るだけです」「どうぞどうぞ」

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落語の国の子どもたち ~女の子たちはどこにいる?~



「かくばかり偽り多き世の中に、子の可愛さは誠(まこと)なりけり」


というのは、古典落語で子どもの話をする時に前置きとしてよく語られるまくらです。そして、そんな落語の国にはいろんな子どもたちが登場します。
◇可愛い、だけど…

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 親から見ると、わが子は可愛い。でも、その一方でとんでもなくこまっしゃくれてわがままで言うことを聞かない、そんな存在です。そんな子どもの姿を、落語はきちんと笑いに換えて表現しています。
 
 『初天神』という落語では、父親とお詣りに行くことになった金坊が、家でした約束を忘れて「あれが欲しいこれが欲しい」と縁日のお菓子やおもちゃをしつこくせがむ姿が微笑ましくもうんざりするくらいにぎやかに表現されます。
 また『真田小僧』という噺にに登場する息子は、ちょっとした計略をほどこして父親をけむに巻いて小遣いをせしめ、表に遊びに行ってしまいます。

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牡蠣食えば。

 朝、すっきりと目が覚めました。割と感じがちな目の疲れ・重さが、この日の朝はありませんでした。

 どうしてだろう、と考えたら、昨晩、カキ(牡蠣)を入れた鍋を食べていたことを思い出しました。
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見られることで生きてゆく。

テレビをつけたら、女優が語っていました。

自分はひとりでインドに行った。インドで、不衛生な環境の中、大胆な格好をしている人もいて、そういう中でも自分は大丈夫だった。だから、自分はどこでも生きてゆける。
…そうかしら? 無責任な一視聴者は、こんなことを思いました。
ひとりでインドに行って大丈夫だったのは事実かもしれない。けれども、果たして、今のままの女優のあなたが日本の中途半端な田舎に行って、好奇心まる出しの視線で見られて噂されて、そういう状況の中で生きてゆけるかな?
そういうシチュエーションは、彼女はおそらく考えたことすらないだろうな、と思ったわけです。まあそれはそれとして。
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離れているからできること。

あれは私が東京にいたころだから、まだ20世紀だった頃の話。

落語協会謝楽祭が円朝まつりになるさらに前、全生庵での業界人だけの「円朝忌」としてひっそりと催されていた頃のちょっとしたエピソード。

あるマスコミ関係者の方がパソコン通信でお話をしていました。
「今度、円朝忌に行くことになって、初めて協会の浴衣を着ました」
(どちらの団体かは失念しました)
当時は、浴衣の着用が参加必須だったのかもしれないです。でも、当人と周りが「良かったですね~」と盛り上がる中、自分はどこかで小さな違和感を感じていました。
円朝忌に参加するのは有意義なことかもしれない。
でも、そこに参加する上で協会の浴衣を着るというのは、読者に物事を伝えるという立場から一歩「中の人」に踏み込むことなのではないだろうか。そしてそれは、伝えられないことが増えるだけではないだろうか。そうしないと伝えることができないことがあるのだろうか。
その違和感を口にする機会がないまま、長い時間が経ちました。

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光かがやく可楽師匠。 ~三笑亭可風真打昇進披露興行 in 磐田なぎの木会館~

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11/13 磐田寄席 三笑亭可風真打昇進披露興行
(磐田市 竜洋なぎの木会館いさだホール)

三遊亭金の助 狸札 
三笑亭可龍 初天神 
三笑亭可楽 尻餅
桂歌丸   つる

(仲入り)

三笑亭可風 真打昇進披露口上
(司会:可龍、可風、可楽、小遊三、歌丸)
三遊亭小遊三 金明竹
鏡味味千代  太神楽
三笑亭可風 ぶりのあら煮

三味線:古田尚美

澄んだ秋の空、強い午後の陽射しがホールロビー吹き抜けに差し込む中、吹き抜けに「三笑亭可風」の名前が大きく書かれたのぼりが三本。大ホールは大入満員、三笑亭可風昇進披露興行がにぎにぎしく催されました。

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「昭和元禄落語心中」参考文献リスト作ってみました。

感動の中幕を閉じた、落語をテーマにした漫画「昭和元禄落語心中」(雲田はるこ著)、最終巻第10巻の巻末に参考文献の一覧が出ています。興味を持った方もいらっしゃるかと思いますが、残念なことにタイトルと出版社名だけで著者名が出ていない。そこで、ひまにまかせて検索しまくってどこから出版された・どなたが書かれた本か・文庫本の場合は原著がいつどこから出版されたかを、単なる一ファンの興味で調べてリストにしてみました。

あくまで紹介されていた本を中心に、掲載されていた順番で、同じ本が単行本や文庫などで出されている場合は「原著」「備考」の欄に記しました。excelデータをそのままpdfにしただけなので、一部見づらい・わかりづらいところもあるかと思いますがご承知おきください。

「rakugoshinju.pdf」をダウンロード

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«「旅成金☆in静岡 小痴楽・鯉八・松之丞 似顔絵くん駿河路をゆく」パネル展言いだしっぺとして。